大動脈解離の手術後について

大動脈解離の手術後について

大動脈の血管壁は、内膜・中膜・外膜で構成されています。大動脈解離とは、何らかの原因で内膜が裂け、大動脈の血管壁に血液が流れ込む疾患です。大動脈解離は命に危険が及ぶ可能性がある疾患であり、緊急手術が必要になる場合があります。この記事では、大動脈解離の手術後について解説します。

大動脈解離手術後の合併症について

大動脈解離手術後に現れる可能性のある合併症には以下が挙げられ、症状・前兆が現れた際は早急に治療する必要があります。ただし、一般的に、大動脈解離手術後にこれらの合併症が現れることは、比較的少ないと言われています。

・脳梗塞:体(手・足・顔等)の左右どちらかに痺れや麻痺がある・物をよく落とす・足を引きずって歩く・階段でつまずく・呂律(ろれつ)が回らない・言葉が出てこない・視野が欠ける 等
・心筋梗塞:胸の痛み・胸が締め付けられるような圧迫感・胸焼け・不整脈・動悸 等(肩・腕・顎等、胸以外に痛みが現れる場合もある)
・不整脈:脈が飛ぶ・胸が苦しいと感じる・急に脈が速くなる・めまいがする・瞬間的に意識が遠くなる 等
・脊髄障がい:障がい部位に応じ麻痺や脱力が起こる 等
・腎不全:尿量の増加・頻尿・むくみ・高血圧・疲労・倦怠感 等
・手術痕(しゅじゅつこん)の化膿による腫れ・痛み・赤み 等

大動脈解離手術後の注意点について

手術後半年間から1年間は、肋骨・心臓に大きな負担をかける動作を避け、発熱・体調の変化等の経過観察を行う必要があります。また、以前の日常生活に戻る程度まで回復するには、医療機関の指導の下、体調に気を付けながら早い段階から積極的にリハビリテーションに取り組むことが大切と考えられています。中でも、運動療法は心機能回復に大きく関わり、以下のメリットがあると言われています。
・持久力・筋力の回復による身体機能・運動機能の改善
・日常生活・趣味等を行えるようになることによる生活の質の向上
・自身の状態を理解することによる再発・再入院の予防

運動療法では、心臓に過度な負担がかからない範囲の運動(ウォーキング・サイクリング等の「ややきつい」と感じる程度の有酸素運動・椅子から立ち上がることを繰り返す低強度の筋力トレーニング等)から取り組み始め、徐々に強度を上げていきます。


運動療法は、基本的には医師・看護師・理学療法士の管理の下で行いますが、医療機関以外でも自身で運動療法を実践できるよう、心拍の計測方法・心拍に合わせた運動強度の調整方法等についての指導も行われる場合があります。また、手術後は、起床後1時間以内の安静時血圧・就寝前の安静時血圧を、自身で測定・管理することが求められる場合があります。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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