肝硬変で腹水が溜まる原因と治療内容

肝硬変で腹水が溜まる原因と治療内容

腹水とは、腹部に体液が溜まった状態のことであり、肝硬変が進行した際に起こる可能性があります。腹水が溜まると、お腹が大きく張り、下肢にむくみが現れるようになります。この記事では、肝硬変で腹水が溜まる原因と治療内容について解説します。

肝硬変で腹水が溜まる原因

肝硬変で腹水が溜まる主な原因は、門脈圧亢進(もんみゃくあつこうしん)【門脈内の圧力が上昇した状態】により、血漿(けっしょう)【血液から赤血球・白血球・血小板等の血球成分を取り除いた液体成分】の漏出が起こることが関係していると言われています。通常、胃・小腸を巡った血液は、門脈【胃・腸・脾臓から肝臓へ血液を送る静脈】を通り、肝臓へ流れ着きます。しかし、肝硬変により肝臓が硬くなると、門脈圧が上昇したことによる影響で血漿成分が門脈の外へしみ出し、腹水となって溜まるようになります。

また、肝臓には、たんぱく質を合成する働きがあり、肝硬変により肝機能が低下すると、たんぱく質の一種であるアルブミンが減少します。アルブミンには浸透圧を維持する働きがあり、アルブミンが減少すると浸透圧に異常が起こり、血管から水分がしみ出し、腹水となって溜まるようになります。

肝硬変による腹水の治療内容

肝硬変による腹水は、利尿薬【排尿を促しむくみの緩和を目指す薬】・アルブミン製剤【アルブミン不足を補うために使われる薬】等による薬物治療を中心に進められ、重症の腹水がある場合は腹水穿刺(ふくすいせんし)【腹部に針を刺し、腹水を排出する治療】等が行われる可能性があります。また、肝硬変が進行して血液中のアルブミンが減少すると、体内に水分を溜め込みやすくなります。この影響により、利尿薬等の薬物治療で改善が難しいと判断されるまで腹水が悪化すると、透析治療(CART)が必要になる可能性があります。

CARTとは、人工透析機を使用し、腹水穿刺で採取した腹水から余分な水分・老廃物等を除去した上で、点滴で再び体内に戻す治療です。腹水に含まれるアルブミン等の成分を体内に戻すことができるため、再発するまでの期間が短いと言われています。比較的安全性は高いとされていますが、腹水内に細菌・有がい物質が混入している場合は、発熱等の症状を引き起こす可能性があります。


塩分を摂取すると体内に水分を溜め込みやすくなり、利尿薬が作用しにくくなる可能性があります。そのため、一般的には、腹水の治療期間中は塩分制限が必要になります。また、症状の程度により、飲水制限が必要になる場合もあります。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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