認知症による記憶障がいの特徴と対策 - 100年人生レシピ|認知症を考えるみんなのためのメディア

認知症による記憶障がいの特徴と対策

記憶障がいは、認知症の代表的な中核症状【脳の機能低下で起こる症状】です。この記事では、認知症による記憶障がいの特徴と対策について解説します。

認知症による記憶障がいの特徴

記憶障がいとは、体験した出来事・見聞きした過去の出来事を、自覚なく忘れてしまう状態であり、症状は以下に分けられます。

・短期記憶障がい:数秒から1分以内の記憶を失い、新しいことを覚えられなくなる状態。本日の日付・今後の行動・少し前に持っていた物の置き場所を忘れる等が起こる。
・長期記憶障がい:近時記憶【数分から数日間にわたる記憶】や遠隔記憶【数日以上の長期にわたる記憶】を忘れる状態。祝日の名前・地名等の一般的な知識や、ご自身や家族に関する思い出、出来事等を忘れる等が起こる。
・エピソード記憶障がい:ご自身が体験した出来事を、関連するエピソードごと忘れる状態。通っていた学校・勤めていた会社・従事していた仕事等、特定の出来事全体を抜け落ちたように忘れる。
・意味記憶障がい:言葉や物の名前・意味・概念等の記憶を失う状態。「あれ」「それ」等で表現することが増え、次第に意思疎通が困難になる。
・手続き記憶障がい:無意識に記憶していたり、繰り返しの経験や習慣で身に着けたりした技術・知識を失う状態。自転車に乗る・泳ぐ・ピアノを弾く等、以前はできていたことができなくなる等が起こる。

なお、認知症の記憶障がいでは、海馬【脳内に存在する記憶を司る部位】が破壊されることにより、以下の特徴が見られると言われています。

・短期記憶が失われやすい:短期記憶である現在の居住地の記憶を失っているが、長期記憶である子どもの頃の居住地の記憶は失っていない等が起こる。
・意味記憶や手続き記憶は失われにくい。
・エピソード記憶では、関連する出来事・記憶も失う:旅行に行った場所・旅行を計画した事・実際に出かけた事等、一連の記憶を失いやすい。

認知症により記憶障がいを起こした方への対策

認知症により記憶障がいを起こした方に対しては、以下の対応が役立つ可能性があります。

・主張を否定せず、受け入れる:認知症の方は、ご自身の認識と周囲の認識にずれが生じ、不安・恐怖を感じやすく、周囲が主張を訂正すると不安を煽る恐れがある。主張を受け入れることで、安心感を与えられる可能性がある。
・環境を整える:1日のスケジュールを確認しやすい場所に掲示する、新しいことを覚える際はひとつずつ反復練習したり、様々な方法(声・絵・メモ・ジェスチャー等)を試したりながら伝えるようにすることで、短期記憶障がいを補助できる環境を整えやすくなる。


認知症に関する悩みについては、地域包括支援センターに相談することが解決につながる可能性があります。地域包括支援センターへのお問い合わせ先に関しては、お住いの自治体にご確認ください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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