前立腺がんの治療方法について

前立腺がんの治療方法について

前立腺がんは、治療方法により目的等が異なります。この記事では、前立腺がんの治療方法について解説します。

前立腺がんの主な治療方法

前立腺がんの主な治療方法として、手術療法・放射線療法・薬物療法があり、薬物療法は内分泌療法(ホルモン療法)・化学療法に分けられます。

●手術療法
開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット手術があり、開腹手術では下腹部を切開し手術を行います。腹腔鏡手術では、小さな穴を数個所開け、炭酸ガスで腹部を膨らませ、専用のカメラ・器具を使い手術を行います。腹腔鏡手術は、開腹手術よりも傷が小さく出血量も少ないため体への負担が小さく、回復も早いと言われています。

ロボット手術では、小さな穴を数個所開け、精密なカメラ・鉗子(かんし)を持つ手術用ロボットを使い、遠隔操作により手術を行います。手の震え等の「手術に不要な動き」が制御され、拡大画面を見ながら操作ができるため、非常に精密な手術が可能であり、腹腔鏡手術よりもさらに負担が小さいと言われています。

●放射線療法
放射線療法では、主に外照射療法【体外から放射線を照射する治療】を行います。外照射療法は、治療範囲をコンピュータ制御で前立腺の形状に合わせることができるため、周囲の臓器に当たる放射線量を減らすことができます。

●内分泌療法
内分泌療法は、LH-RHアゴニスト製剤・GnRH受容体アンタゴニスト・抗男性ホルモン剤・リン酸エストラムスチン等の薬を使用し、アンドロゲン【男性ホルモンの一種】の分泌・作用を抑制することで進行を抑制します。

●化学療法
化学療法は、転移があり、内分泌療法では効果が得られなくなった場合に検討されます。抗がん剤【ドセタキセル水和物・カバジタキセル・エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物等】を使い、がん細胞を死滅させる・小さくすることを目的に治療が進められます。

その他の治療方法

前立腺がんの治療方法に、監視療法・フォーカルセラピーがあります。監視療法とは、治療を行わなくても余命に影響がないと判断された場合に、治療の苦痛・副作用による生活の質の低下等を鑑み、経過観察【定期的に行う直腸検診・前立腺生検等】のみを行う治療方法です。このような経過観察に加え、必要な部位のみ局所的治療を行うものがフォーカルセラピーになります。


低リスクの前立腺がんと判断された場合、組織内照射療法が検討される可能性があります。組織内照射療法とは、小さな粒状の容器に放射線源【放射線を放出する物質】を密封し、前立腺内に入れ、体内から放射線を照射する治療方法です。がん細胞の近くに放射線源があるため照射位置がずれにくく、非常に高い線量を照射できますが、前立腺肥大症で手術をした方等、治療が受けられない可能性のある方がいらっしゃいます。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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