心筋梗塞治療薬の種類と服用中の注意点

心筋梗塞治療薬の種類と服用中の注意点

心筋梗塞の治療薬には複数の種類があり、それぞれ違いがあります。この記事では、心筋梗塞治療薬の種類と服用中の注意点について解説します。

心筋梗塞治療薬の種類

心筋梗塞の薬物療法では、主に以下の薬が使われます。

●抗血小板薬・抗凝固薬
抗血小板薬・抗凝固薬には、血液が固まることを抑制し、血栓の発生を防ぐ作用があります。

●β遮断薬・硝酸薬・カルシウム拮抗(きっこう)薬
β遮断薬・硝酸薬・カルシウム拮抗薬は、心臓の運動を抑制することで心臓が酸素不足に陥ることを防ぎ、冠動脈を拡張させることで心臓への負担の軽減を目指します。これらは主に狭心症の治療で使われますが、心筋梗塞の治療でも使われる場合があります。

●スタチン・ACE阻がい薬・ARB
スタチンには血中コレステロールを下げる作用があり、ACE阻がい薬・ARBには血圧を下げる作用があります。これらの作用により動脈硬化を予防し、心臓への負担を軽減する・心筋梗塞の再発を予防することが期待できます。

服用中の注意点

心筋梗塞の治療薬の中には、服用中に摂取が禁忌となる食べ物・飲み物があります。例えば、ワーファリンの服用中には、ビタミンKを含む食べ物・飲み物の摂取が禁忌となります。ワーファリンは、ビタミンK類似構造のクマリン誘導体であり、ビタミンKに拮抗(きっこう)【お互いに反対の作用を同時に行う】し作用します。この作用により凝固因子【ビタミンKの作用で血液を固める物質】が作られることを抑制し、血栓を予防します。このため、ワーファリン服用中にビタミンKを多量に摂取すると、ワーファリンの作用が弱まる可能性があります。ビタミンKを多く含んでいる食べ物として納豆・クロレラ・青汁等が挙げられます。なお、納豆菌には腸内でビタミンKを生成する働きがあるため、特に注意が必要と言われています。

また、カルシウム拮抗薬には末梢の血管を拡げることで血圧を低下させる作用があり、服用中はグレープフルーツの摂取が禁忌となります。これは、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という物質が、小腸上皮細胞にあるCYP3A4という代謝酵素の作用を妨げ、カルシウム拮抗薬の代謝に異常が起こり、薬の体内濃度が上がってしまうことが関係しています。体内濃度が上がることで薬が過度に作用し、血圧を著しく低下させる可能性があります。なお、フラノクマリン類は、ぶんたん・だいだい等にも含まれています。


薬の服用を忘れた場合に、2回分を同時に服用することは決してしないでください。服用を忘れた際の対処法については、医療機関・薬剤師に相談することをおすすめします。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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